1.ある朝

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それを最後まで見届けずに僕は自室へ戻って寝間着のローブから普段着のローブへと着替えた。 見た目はほとんど変わらない。 気分の問題だ。 改めてリビングへ下りると、室内は少し暖かくなっていた。 それでもやはり寒くて腕を組んで身をすくめながらテーブルにつく。 目の前にカチャカチャと皿が並び、暖炉の中からはパンの焼ける香ばしい匂いがする。 「マスター、コーヒーはブラックで良いですか?」 「いや、今日は胃が少し痛むからミルクを多めにしてくれ。」 「またですか?ホント繊細なお人だなー。」 「聞こえてるよ。独り言。」 「ぴゃっ!ミルクをもらってきますー!」 慌てて手を口に当てながら部屋を飛び出していく。 やれやれだ。 確かに僕は胃が痛む頻度が高い。 だがその一端はイシュカにもあると言うことを自覚しての発言なのだろうか?
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