1.ある朝

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イシュカが搾りたてのミルクをコーヒーに注いだところで、ようやく落ち着いて朝食を食べ始める。 イシュカは一緒には食べない。 僕が何度一緒にテーブルにつくように言っても頑として譲らない。 『マスターと同席で食事だなんてとんでもない!僕は使い魔なんですから!』 同じ理由で呼び方も絶対に変えない。 さっきの独り言からも分かるように、本当に僕のことを敬っているわけではないと思うのだけど、どうやら使い魔というものは、召喚者とは必ず一線を引かないといけないらしい。 それを破るとどんなことが起こるのか、何か罰があるのか、何処で誰がチェックしているのかもよく分からないけれど、イシュカがとにかく何かをえらく畏れているので深くは聞かずにいる。 僕が食事をしている間、イシュカは僕の見えないところで食事をしているらしい。 その姿を見たことがないので本当かどうか分からないけれど。 「やれやれ、なんの為に召喚したんだか。」
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