温もりはココに

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ーーー ーーーーーー 「ただいまぁ…………。」 ガチャリと家の扉を開けながら誰もいない部屋に向かって声をあげる。私はふぅ、と一息つきながら部屋の中へと足を踏み入れる。 リビングは広々としていて、一人用にしては大き過ぎるほど。食器棚には、お揃いのマグカップがあったり、棚には写真がいくつか並べられている。 大好きな彼は、一年前に病死した。 未だ受け止められない彼の死。私は棚に置いてあった写真に手を伸ばす。 彼との結婚。思えば、あの時が一番の幸せの絶頂期だった。 彼は優しくて、いつだってその陽だまりのような笑顔で、私の心を包んでくれた。 不意に、冷たい風が窓から入り込んできて、ぶるっと身震いした。今の季節は冬。外は当たり前だけど凍えるように寒い。 「いけない…風邪、引いちゃう…………。」 一人呟きながら、開かれていた窓をバタンと閉めた。外は雪が降り注いでいる。その光景を見ると、何だか心が冷え切りそうになる。 「…………。」 何となくぼーっと窓の前で立ち尽くしていると、目の前が明るくなった。顔を上げると、優しい光が雲の合間から差し込んで、降り続ける雪達を照らしている。それはまるで宝石のように。 キラキラしていて、私は自然に笑顔になった。 寂しくないと言うと嘘になる。が、きっと彼はあの空から私を見守ってくれている。 ね? そうでしょ? 私はそう問いかけると、光の中でう~ん、と伸びをしながらキッチンへと移動する。お気に入りのマグカップにあったかいココアを注ぎながら、私は鼻歌を歌う。 ソファに座り、私はこくりと一口ココアを飲んだ。少しずつじわじわと体にしみこんでいく感覚。 「あったかい…………。」 私はほくほくしながら、そう言った。何処からか「今日もお疲れ様」という彼の声が聞こえた気がした。 私は更に光り続ける優しい光に包まれながら、目を閉じた。
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