無くしたもの

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漣の「じゃあね」の言葉が妙に気に掛かった岳由は 新聞紙をそそくさとたたんで、小走りで玄関に 向った。 笑顔で手を振った漣の姿が少しだけ見え、 「・・・行ってらっしゃい」 と、小声で言った。 岳由の声は閉められた重い玄関の前で 消えてしまい漣に届く事はない。が、 閉まる隙間から漣の笑った顔が印象的で しばらくは玄関に立ち尽くしてしまった。
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