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技術が進歩し、生活が豊かになっていくのに関わらず世の中から犯罪行為、非人道的行為が少なることはなかった。いや、むしろ増えていった。
それは凶悪犯罪に限らず痴漢であったりいじめ、パワハラに代表されるハラスメント……
虐待やDVなんかも。
そういった諸々のものはあとを絶たず、年々増加の傾向を辿っていた。
いよいよ問題視され、政府側から実力行使とも取れる衝撃的な法案が発表された。
成人以上の人が1人だけこの世から消すことが出来る権利
その一見、荒唐無稽である法案は確かに一定の結果を生みだした。
加害者側からすれば、恨みを買えばいつか報復されるかもしれない、消されるかもしれないと思うようになったのだろう。
今まで弱者だったものたちは平等に必殺の武器を手に入れた。
この法案が出来てもう20年たつが、我が国の犯罪件数はピーク時の半分以下らしい。
僕らの世代からするとあまり実感が湧かないのだが上の世代が言うにはすごく過ごしやすくなったそうだ。
僕の学生時代、友人の他の学校の話を聞いても大きないじめがあったとは聞かないし、いじめや教師の問題行為がニュースやワイドショーを賑わせれば僕らにとっては珍しいものでもあったものだ、といった認識であったが、この反応こそが感動的ですらあるらしい。
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