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郁翔さんは不思議そうに首を傾げるが,あたしは気にも止めず『コクコク…』っと頭を縦に振った。
「そんな有名になる様な事,オレしたかなぁ??」
「…デザインコンテストです。」
「デザインコンテスト…確かに参加してるが…そんなので,有名になるものなのか??」
郁翔さんは,デザインコンテストには,参加するけど,賞とかには興味がないらしい。
「コンテストに参加してる人は,みんな桜華縞さんのデザインに憧れてますよ。もちろん,あたしも,リスペクトしてます。」
あたしが苦笑いしながら答えて居ると,サロンのネイリストさん達も,頷いていた。
「だから,名前だけは知ってたんです。まさか…慎ちゃんのイトコだとは…知らなかったので,驚きましたが…」
「珍しい名字だから,気付いてもおかしくないんだけどな。」
郁翔さんは,慎さんと顔を見合わせて笑い合う。
「あのっ…それで,聞きたい事って…?」
「あぁ…忘れてたっ…!」
あたしは,郁翔さんの言葉に思わず『ポカーン…』っとなってしまったのは,言う間でもない。
「そのネイル…」
「ネイル?ああ…これですか?あたしのしてるネイルが何か?」
「それっ!!私達も気になってたんだよね…。そんな細かなデザインネイル,一体どこのサロンでして貰ったんだろう…って。」
サロンのネイリストさん達も気になって居たのか,ここぞとばかりに質問して来る。
「……信じる信じないは,みなさん次第ですが…このネイルは,あたしが自分でしたんです。デザインのイメージは,あj…」
「デザインのイメージは,紫陽花…だよな?」
あたしがデザインのイメージを説明する前に郁翔さんは,当ててしまったのだ。
「さすがですね。何をイメージしたデザインなのかを一発で当てられちゃいました」
「そのネイルが,乃木様に施したのと似てたからな。」
郁翔さんは,慎さんから写メを見せて貰っただけでなく,送って貰い,自分のスマホの画面を見せてきた。
「似ててもおかしくないですよ…。乃木様にデザイン希望を聞いた時に,あたしのこのネイルデザインを気に入って下さったので…」
「だから,自分のしてるネイルデザインに少し手を加えてアレンジデザインしたってワケか…」
あたしは,『コクンッ』と縦に頭を振る。
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