>>8 指輪と慎さんのbirthdayと初めての…

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「ありがとね」 「…えっ?」 あたしは,いきなりのお礼に首を傾げる。 「何も言わずに居てくれたのは,勝手に話して好き勝手に記事にされたらいけないと思ったから,話さずに居てくれたんでしょ?」 あたしが,バレたか…っと言う顔をすると,慎さんはあたしの頭を『ポンポン』っとしながら,“当たり前じゃない。分かるわよ”と,微笑んだから,あたしも微笑み返した。 「さて,じゃぁ〜あたし達は上(家)に戻るね。」 「パパ,おちごとがんばっちぇね。」 「ありがと〜。ココちゃん,璃桜…お昼休憩,うまく取れる様にするから,3人でお昼食べましょう」 璃桜くんの頭を撫でながら,そう慎さんが言った時,『カランコロンカラーン…』っと扉が開く音がサロン内に響く。 「あら,ヤダわ…もうOPEN時間だったのね…」 「じゃぁ,あたし達は,上(家)に戻ろうね」 抱っこしたままだった璃桜くんは,“あーい。おうちかえっえ,おうろはいゆー”っとあたしに頬を擦り寄せて言って来た時だった。 「あら?もしかして,心さん?」 あたしは,声を掛けられた方へと向きを変える。 「あ…乃木様っ!!」 「ちょっとヤダ…心さんが居るなら,娘…学校休ませてでも連れて来たら良かったぁ〜」 「えっ…ぃゃ…あたしは…」 「えっ?違うの?! てっきりここで働く事になったのかと思ったのに…残念だわぁ」 乃木様が慎さんの案内で,席の方へ向かおうとした時,乃木様のある指の爪に目が止まり,思わず乃木様を呼び止めてしまった。 「右手人差し指の爪…どうされたんですか?」 「えっ…あ…昨日仕事中に指引っ掛けちゃって…その時にね…折角,,スタッフや娘,息子…旦那までもが褒めてくれたネイルなのに…」 乃木様は,右手人差し指を隠す様にして悲しそうな笑みを残して,再び歩き出そうとする。 「…待って下さいっ!「」ん゛ゅっ!?」 あたしは璃桜くんを抱いたまま,乃木様の傍まで近寄り,右手を取って人差し指の爪の状態を確認する。 「マッ…ママ…いきないは,ボクこあいの…」 「あぁ…ごめんね,璃桜大丈夫?」
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