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「ママ,ボクほかにもちゅくいたいのー」
「璃桜は,パパに似て手先が器用と確信しちゃったわ。もしかしたら,こんなモノも作れちゃうかもだね」
あたしは,自分の好みのピアスを指差した。
璃桜くんは,レシピ本を『ジィーーッ』っと見詰めた後,見ただけで使う材料が分かったのか,何も聞かずに用意して作り出した。
あたしは,凄い集中力だなぁ〜っと思いながら,璃桜くんが怪我しない様に見守っていると,
「ママ…あい…ちゃいごのここちてくだちゃい」
璃桜くんがお願いして来たのは,丸カンに繋ぐ所だった。
「こっちはしておくから,その間にもう1つ同じのを作ってていいよ」
璃桜くんは,“あ〜い”と返事をすると,同じパーツをもう1つ作り出した。璃桜くんが,せっせとパーツを作る横であたしは,ジュエリー型モールドに丸カンを付け,ピアスの金具を平ヤットコを使って取れない様に付ける。
「ママ,あい…こえもちてくだちゃい」
璃桜くんから受け取るとあたしは,もう1つも同じ様に丸カンを付けてピアスの金具が取れない様に付け終えると,璃桜くんの目の前に置く。
「…できちゃね」
「そうだね。上手に出来たね」
璃桜くんは,出来上がったピアスを手に取ると,あたしに渡し来た。
「…えっ…?」
「ママ,どうじょ…」
「ママに…くれるの?」
璃桜くんは,大きく頷く。
「ありがと〜。凄く,嬉しい」
あたしは,今まで付けていたピアスを外して,璃桜くんが作ってくれたピアスを付ける。
「どうかな?」
「にあっちぇゆの〜♪」
手鏡で耳元を見ると,子供が作ったピアスとは思えない出来栄えだ。
璃桜くんは,作る楽しさを知ったのか,他にも色々と作り出す。
「ママ,こえ,ちゅかってもいい?」
「…? いいけど……何に使うの?」
「んゅっ? んと…」
璃桜くんは,言葉で説明するのが難しかったのか,言葉に詰まる…。なので,あたしは,黙って見守る事にした。
暫く見守っていると,璃桜くんに,作ったモチーフにピアスの金具を付けて…っと頼まれ,平ヤットコを使って金具が取れない様に取り付けた。
出来上がった物を見ると,ジャパニーズモダンを取り入れた折り紙(和紙)のピアスだったのだ。
「りっ…璃桜…コレ…良く作れたね…」
あたしが関心して見てると,璃桜くんは爆弾発言をした。
「んゅ? かちゃちみてちゅくっただけなの〜」
「……!!?」
あたしは,璃桜くんの才能に驚いた。
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