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君には罪など無く
生き物の匂い、と言えばアンモニア臭だ。生きている間もそうだが、殊死に際、失禁する哺乳類においてその印象は強い。死体が腐敗した時に発せられるタンパク質が分解されるすえた匂いよりも身近である。
だが、生き物の匂いとは生物そのものが発する匂いだけでは無く、生物の活動が生み出す匂いもある。登校中の少女ー高崎和泉の嗅いだ恐らく朝食を作っている匂いもその一つだ。何かの肉を焼いているような匂いなので、ウインナーやソーセージを焼いているのだろう。先程朝食を食べたばかりなのに、お腹が空いたように感じてしまった。
勿論、気のせいなので冷たい空気を吸い込んで気を紛らわせる。深く長く、白い息を吐くとも胸ー肺が凍てついたかのように痛んだ。病気では無いのだが、この季節には痛むのだ。三年前の、あの日から。
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