君には罪など無く

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学校の玄関の靴箱を見れば、今校舎内にいるクラスメイトはいないと分かる。外履きが一足も置かれていないから間違い無い。高校三年の三学期、自由登校になってから顔を合わせていないクラスメイトもいた。 内履きに履き替えて廊下を歩く。玄関からすぐ右手には階段があり、自分の教室へ行くにはそちらを使う。が、今日は教室へ用事が無いので反対側ー廊下を左に進んで行った先の階段へ向かった。右の階段は職員室に近いので、なるべく使いたくなかったのだ。 左の先にある階段を上る事、二階。一階から二階上がった事になるので、和泉は三階までやって来た。そして廊下を進み、棟の一番奥にある教室のドアに手をかけて、一度その扉の上にあるプレートで確認する。 『美術室』 高崎和泉、彼女は高校三年間ーその前の三年も美術部に所属していた。もう引退しているが顧問から「自分の作品は持って帰れ。邪魔だ」と言われたため、回収しに来たのだ。     
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