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驚きに声をかけた俺は悪くないはずだ、平日全てバイトに出てて今日も?まだ高校一年だぞ、もっと他にすることがあるだろう。
俺が聞いてきたことが意外だったのか、ばっ、と振り返り驚きを表す瞳と目が合った。しかしすぐに逸らされ、あらたは扉に手をかける。
「そうだよ。………18時頃帰るから。」
そう言葉を残し、扉は閉まった。
残された俺は何とも表現し難いモヤモヤを抱えながらも掃除に精を出す。
…………なぜ息子はそんなにバイトを入れているのか、そもそもバイトなんてしてたのか?
無心に掃除機を転がしながら思うのは先程出掛けた息子の事、妻から聞いていたのは成績はそう悪く無いこと、小学校から一緒の友達が高校に居ること、それに、俺に似て真面目で不器用だということ。
あらたは結構見た目はやんちゃっぽいんだけどね。
そう言ってよく妻は笑っていた。遅くに帰ってくる俺を待っててくれて、温め直してくれた晩飯を食べる俺の向かいに座り子供達の事を楽しそうに、嬉しそうに話してくれていたのだ。
妻から聴いた子供達はよく知っている。でも、俺は子供達が実際どう考え、過ごしてきたのかは知らないのだ。
勝手な想像で子供達と接するのは間違っている様な気がして、結果声すらまともにかけられない臆病な俺がただオロオロと戸惑っている。
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