今度は私の番だから

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今度は私の番だから

 私にとっては、たった七十秒間ほどの繰り返し。  それでも、そこにはぬくもりが残っていた。  私の目の前、普通に会話ができる距離。  そういえば、結局彼女と触れ合うことはなかった。  だから、このぬくもりは精神的なものであって、実際に身体的に感じ取ったものではない。  でも、彼女の笑顔、彼女の真剣な表情、彼女の走ってくる姿、彼女の腰に手を当てた立ち姿、そして彼女の深く澄んだ瞳。  脳裏に焼き付いた彼女は、決して私の中から消えることはない。  これ以上待つのは止めよう。  今度は私の番だ。私だって主人公になりたい。いや、絶対になってやる。  探す当てなど無い。そんなものはこれからいくらでも考えればいい。時間は、世界は『そうできている』とわかったのだから。  だから私は。  彼女のぬくもりを確かめるため。    研究室へ向けて、駆け出した。
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