1. とにかく逃げましょう

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「……何故逃げるんだ」 「私のっ…はぁっ…シックス…センスっがっ…はぁ…危険っ…と判断っ…してるっ…からよ…」 「"少し"頼み事をしただけだろう」 「どこが少しよめんどくさい!」 目の前には盛大にため息をつく幼なじみの紫藤(しどう) 蓮。廊下を猛ダッシュして逃げたのに、蓮の鍛え抜かれた足の筋肉達には勝てなかった。 蓮はもう逃がすものかと私の腕を掴んだまま、息も乱さずに話を再開し始めた。 「そういえばさつき。お前、クラスの不良をボコボコにしたあげく更生させたそうじゃないか。今ではその不良もクラスで1、2を争う優等生になっているとか」 「なんで知っ……なんでもないです」 なんで知ってるかなんて聞くだけ無意味だ。蓮の情報網はとんでもなく広く、なんなら校長のスリーサイズまで言えるくらい。頭の回転が早くて記憶力も半端ない。 我が校の男子剣道部を全国屈指にまで上り詰めさせた、敏腕マネージャー兼選手なのだ。 「お前のその腕を見込んで頼んでいるんだ。俺がお前に頭を下げた事が過去にあったか?」 「うっ…で、でも私“アイツ”苦手だし…あんなナリしてるけど絶対駄目人間じゃん!」     
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