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「……何故逃げるんだ」
「私のっ…はぁっ…シックス…センスっがっ…はぁ…危険っ…と判断っ…してるっ…からよ…」
「"少し"頼み事をしただけだろう」
「どこが少しよめんどくさい!」
目の前には盛大にため息をつく幼なじみの紫藤 蓮。廊下を猛ダッシュして逃げたのに、蓮の鍛え抜かれた足の筋肉達には勝てなかった。
蓮はもう逃がすものかと私の腕を掴んだまま、息も乱さずに話を再開し始めた。
「そういえばさつき。お前、クラスの不良をボコボコにしたあげく更生させたそうじゃないか。今ではその不良もクラスで1、2を争う優等生になっているとか」
「なんで知っ……なんでもないです」
なんで知ってるかなんて聞くだけ無意味だ。蓮の情報網はとんでもなく広く、なんなら校長のスリーサイズまで言えるくらい。頭の回転が早くて記憶力も半端ない。
我が校の男子剣道部を全国屈指にまで上り詰めさせた、敏腕マネージャー兼選手なのだ。
「お前のその腕を見込んで頼んでいるんだ。俺がお前に頭を下げた事が過去にあったか?」
「うっ…で、でも私“アイツ”苦手だし…あんなナリしてるけど絶対駄目人間じゃん!」
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