4. 残されたふたり

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「あと…」 「あと?」 「蓮…蓮のお願いだったからというのは、ある。蓮、ちょっと本当に困ってたから。」 「紫藤…?」 幼馴染なの、とポツリと呟いた。 分かるか分からないかくらいに彼女の頬が赤らんだ気がした。 何故かこれが本当の理由なんじゃないかと確信めいたものがあった。 なんだ、紫藤の為か。 そう思うとなんだか面白くない、といえばいいのか、少しモヤっとした感覚がお腹の底に芽生えた。自分に訳が分からなくなった。 しかし、彼女がなにが動機だということは関係ない。事実、彼女は自分のためにたくさん動いてくれた。おかげで部屋は見違える程綺麗になり、部屋の空気が幾分かマシになった。 しばらく何も言わずにぼーっとしていると、彼女がまた両手を揉みはじめ、居心地悪く目線をそらせた。顔が少し赤くなっていて、なんでだろうと思うと自分はしばらく彼女の目をずっと見つめていたようだった。 「…なんなのよ。」 「あ、いや…」 じとっ…と赤い顔で睨まれ思わず釣られて自分まで顔が熱くなった。
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