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2. 逆らってはいけません
「…っ」
「やぁ、やっと起きたね。死んだのかと思ったよ」
「…ぎっ!いやぁぁぁあああ!」
目を開けると目先3cmのところで魔王がにっこりこちらを眺めていた。思わず飛び起きて叫びながら後ずさりをすると、うるさいと凄く凄く嫌な顔をされた。
彼はこの剣道部部長の胡桃沢 雪。剣道部には似つかわしくない容姿端麗な優男だが、身体能力はさることながら部をまとめ上げる部長としての器量もあり、周りからはプリンスとはやしたてられている。
しかし根元は真っ黒。部だって腹黒政治でおさめている(と私は思っている)し、何かしでかそうもんならあの手この手で抹殺される。その腹黒さから(私は影で)魔王と呼んでいる。
「なんで私……」
「俺が気絶させて連れてきたんだ。悪く思うな」
「蓮ーっ!」
怒りを露わにして睨みつけるが、全く悪びれる様子のない幼馴染に思わず怒りを通り越して呆れてしまった。
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