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「僕らじゃ…手に負えないんだ…。情けないのは承知で頼んでる。お願い…黒崎を助けて」
こんな光景は見たことがない。男子剣道部のスタメンが揃いも揃って私に頭を下げている。2、3歩下がってしまった。
黒崎 雅治とは我が強豪剣道部で1年の頃からスタメンをはっている男子剣道部のホープ。
かなり有名で女の子に超が付くほどモテるのは知っている。長めの黒髪に切れ長の目。長身でクールでかっこいいとかみんなは騒いでるけれど、絶対いけ好かない駄目人間だと私はどこか確信めいたものを持っていた。
だからかさして興味も持っていなかった。
それどころかあの誰も信用してなさそうな、どこか他人を見下してそうなあの目が気に食わなくて、同じ部なのに声も交わした事がない。まさに赤の他人であるのに“嫌い”だった。
だから嫌だったのに…
でもメンタル弱いとか学校来てないとか音信不通だなんて、これはいくら黒崎でも少し心配になってしまう。何かあったのか…
なんていつものお節介癖がひょっこり顔を出し始めていた。これ自体が胡桃沢とその仲間達の思うつぼだという事も知らずに。
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