3. はじめまして、ヘタレ

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3. はじめまして、ヘタレ

「うっわぁ…」 「さつき、こっち。」 「あ、うん…いや、はい。」 思わず口をあんぐりさせてしまった。 高校から渋々魔王と歩きはじめ、他愛もない話を右から左へ流しながら10分ほどたったところだった。 大きな道路に面した好立地。 高くそびえ立つそれを指差した胡桃沢はなんの躊躇いもなく中に入っていった。 うちのアパートから黒崎のマンションが意外と近かったのにも驚いたが、一番はこのマンションの規模、でかさ。 ここの8階の学生専用フロアに住んでるんだよ、なんてサラリと胡桃沢は言ったが、うん。でかい。私のアパート何個分だろうとむなしい事を考えてしまった。 胡桃沢に促されて、マンションの玄関フロアの鍵穴に先程もらったキーを差し込みひねると重たい自動ドアがブーンと開いた。 なんか…黒崎のくせに腹立つ。 ふわふわした絨毯を無駄に踏みしめながら8階へ続くエレベーターに向かった。
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