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ベルはとあるお屋敷のお嬢様の愛犬だった。生まれつき足が不自由な彼女の介助をするため躾けられてきたベルは、お嬢様のもとに連れてこられたとき、ああ、やっとご主人様にお仕えできるんだと、とても嬉しかったことを覚えている。
お嬢様もまた、ベルをとても可愛がってくれた、
「お父様は忙しいし、お母様はもういらっしゃらないでしょう? だから、あなたみたいな子が私のもとに来てくれて、とっても嬉しいの! これからずっと一緒にいてね! 大好きよ、ベル」
お嬢様は太陽より眩しく笑って、ベルの短めな黒い毛並みを撫でてから、ぎゅっと抱きしめてくれた。
ベルとお嬢様は、お嬢様の言葉通り、いつも一緒に過ごした。お嬢様がどこかに行くときは決まって同行したし、お嬢様が眠るときは同じ部屋の中にいた。ときどき、お嬢様に呼ばれて、同じベッドに眠るときもあった。お屋敷の人には苦い顔をされるけれど、お嬢様と同じベッドで眠るのは、心も体もぽかぽかとして、大好きだった。
幸せな、とても幸せなこの時間は、きっと永遠に続くと、何の根拠もなく思った。
だが、永遠なんてものは、どこにもなかったのだ。
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