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――魔女の力は、本物だった。
「治療は終わったよ」
光がやむ。魔法陣がかき消える。だが、魔女は依然としてそこにいる。
「まずは確認。……立てるか、試してみて」
言われるがまま、足に力を込める。特別な意識や工夫を要さずに、数日ぶりに立ち上がることができた。魔女が作ってくれた後ろ足は、今日作られた、本来のベルの足ではないものとは思えないほどしっかりとそこにあり、何の違和感もなく、床を踏みしめることができている。
「大丈夫? 歩ける? 痛みはない?」
問われて、ベルはそろそろと一歩だけ進んでみる。体の均衡はまったく崩れない。やはり、違和感もない。そのまま一歩、さらに一歩、まったく問題なく進み出ることができた。ついさっきまで足がなかったことの方が嘘だったかのように、ベルの体に馴染んでいる。
尻尾を大きく振った。やった。よかった。これで、ご主人様のもとに帰れる。
「そっか。……よかった。ベル」
魔女は床に膝をつき、そうして、ベルの頬の辺りに触れた。
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