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「・・・んっ」
何だろう。胸が重くて、体を動かすことができない。
息苦しさに意識が浮上するのと同時に、
「・・・重い」
唇からも音になって言葉が漏れた。
まだぼんやりしている視界の真ん中に見えたのは、白い影。・・・しかも、かなりもこもこの。
その一部が伸びてきて、そっと頬に触れる。
やわらかくて、あたたかくて、とても気持ちがいい。と、思っていたらどんどん力が増し、ぺしぺし頬をはたかれる。
「な、何・・・っ!?」
ようやく目が覚め、頭を持ち上げて見た私の前には、丸い大きな緑の瞳。ビー玉みたいに光る、とても綺麗な二つの瞳。
ふわふわもこもこ真っ白な猫が、胸の上を占拠していた。
――正直、寝ぼけているのだと思った。
まったく状況が飲み込めない。
そのまま固まっていると、
「あ、だめだよ。あさぎくんまで邪魔しに行っちゃ」
耳ざわりのいい、やさしい男の人の声がした。
どこか聞き覚えのある声に、記憶を総動員していると、お腹にすごい衝撃が加わった。
なんともう一匹、別の猫が飛び乗ってきたのだ。一回り大きな、またまた白い猫が。
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