121人が本棚に入れています
本棚に追加
/141ページ
早い夕食と言ってもいいようなおやつを食べ終わったところで、佐倉さんに切り出した。
「お礼をさせてください!」
もう受け取ったと言われる前に畳み掛ける。
「大掃除のお手伝いでも何でもいいんです。私にできることはありませんか?」
先週も今日も、結局お世話になりっぱなしだ。美味しいものを食べさせてもらっただけでなく、失恋したてで情緒不安定な私に寄り添ってくれた。
佐倉さん達の存在に、どれだけ救われたかしれない。
佐倉さんは家事全般が得意そうだから、結局できることなんてないかもしれない。それでも何か、と前のめりに真剣に問いかける。
考え込むような少しの間があって、
「さくらちゃんは、来週末、何か予定はありますか?」
「いいえ!」
きっぱり即答すると、佐倉さんはちょっと笑いをこらえるように、いつものはにかんだ笑顔を見せた。
「それじゃあお言葉に甘えて、お願いしようかな」
「はい」
佐倉さんのお願いは、予想外のものだった。
「もえぎさんとあさぎくんと、お留守番をしてもらえますか?」
最初のコメントを投稿しよう!