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 頼まれたことだとは言え、本当に良かったのかと罪悪感みたいなものが沸き上がってくる。佐倉さんの笑顔が曇るようなことにはなってほしくない。  ――その時、フニ、という何とも形容しがたい音が耳に届いた。音のした方向にはもえぎさん。もしかして・・・寝言?、と耳を澄ませていると、もう一度、フニッ。間髪入れないかわいい声に、口を両手で押さえ一人悶絶する。  昨日の夜、「寝ますよー」と声をかけてベッドに向かうと、もえぎさんとあさぎくんは我先にとダッシュして待っていた。布団に入ると、もえぎさんは顔のすぐそばに、あさぎくんは腰の辺りに迷わず丸くなった。きっとそれが奏さんと暮らしていた頃からの定位置。  お邪魔させてもらっているのは私の方なので、動いてはいけないのではとしばらく固まっていると、耳元からは小さな寝息が、下からはいびきが聞こえてきた。思ったよりしっかりした、あさぎくんの男らしいいびき。もえぎさんを起こさないよう、やっぱり笑いをこらえるのに苦労した。  ああ、佐倉さんはきっと大丈夫。勝手かもしれないけれど、すぐにそう思いなおした。奏さんの残した猫達は、出会ったばかりの私にさえ、こんなにもあったかい気持ちをくれる。 「佐倉さん、早く帰ってくるといいね」  ほとんど声に出さずに囁くと、もえぎさんがもう一度かわいい寝言で返事をした。
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