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ベッドから滑り落ちていたスマホには、佐倉さんからの連絡が入っていた。拾い上げると「今から帰ります」というメッセージが30分程前から繰り返し入っている。
「すみません。全然気が付かなくて」
「僕こそ何回もごめんね。きっと何かで手が離せないだけだろうって思っても、なんだかね、さくらちゃんがもういないんじゃないかって不安になっちゃって」
お留守番を仰せつかっておきながら、それはさすがにないと思う。鍵だって預かったままなのだ。
「そんな、勝手に帰ったりしません」
「そうだよね。・・・おかしいよね」
佐倉さんが空いている右手で、恥ずかしそうに首に手を当てた。左腕の中にいるあさぎくんは、勿論そこから下りる気配もない。
もえぎさんがぴょんとベッドから飛び下りた。先導されるようにみんなでリビングに移動したところで、まずは佐倉さんに報告。
「佐倉さん、鍵は使わなかったので、そのまま置いてあります。もえぎさんもあさぎくんもとってもお利口で、ごはんもおやつも残さず食べて、たくさん遊びました。もえぎさんのジャンプ、ほんとにすごいですね」
「僕もいまだに感動します。写真を送ったお友達も喜んでくれたかな」
「はい。それはもう。あ、あと、佐倉さんのおでん、本当に美味しかったです。完食しました。ありがとうございました」
「どういたしまして。食べてもらえたなら作った甲斐がありました」
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