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 それから私と佐倉さんは、会う度に次の約束をして別れるようになった。  と言っても、日曜の夕方に佐倉さんの家に行き、夕飯を一緒に食べて帰る。それだけのことだ。ただそれだけのことが、私の支えになっていく。  もしかしたら・・・佐倉さんもそうだったのかもしれない。失恋がこんなにも辛いのだ。奏さんのいない部屋で感じる佐倉さんの喪失感はどれ程のものだったか。佐倉さんはそんな素振りを見せることはなかったけれど。  一緒に台所に立って、一緒に食卓を囲んで、たわいのない日常の話をする。そばにはもえぎさんとあさぎくんもいる。このかけがえのない時間が、私だけでなく佐倉さんの力になってくれていたらいいのにと思った。  椎名の期待に反して、恋愛要素は皆無のまま、やさしく穏やかに時間だけが流れて・・・。  形容しがたいこの関係ができる限り長く続くことを願っていた。
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