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ある夜の帰り道
「どうせ私の事なんてどうでもいいんでしょ!?」
「いや、だから…」
「もういいっ」
通話が切れた。
無機質な冷たさが耳に残る。
「こっちにだって…色々あるだろうが…」
もうすぐ日付も変わる。
早く家に帰ろう…
流石に薄いジャケット程度ではこの寒さも防げない。
ここ数日で急に冷え込んだから冬物が間に合わなかったのだ。
「今更後悔しても遅いか…」
忙しい時期に、色々と重なるのは年末の宿命なのか。
正直、全部忘れて丸一日寝ていたいくらいだ。
「はぁ…」
…今の溜め息はどっちなんだろうな…
約束していた日付が仕事で上書きされる事になり、楽しみにしていた彼女とのデートは無くなった。当たり前に怒った彼女への不満なのか、それとも仕事への不満なのか…いや、どちらも、なんだろうな。
「はぁ…」
早く帰りたい。が、早く歩くと冷たい空気がより冷たく感じられるから、静かにとぼとぼと歩く。そして、冷えた空気で息が詰まりそうになってくるのが地味に辛い。なんとか寒さを紛らせたいのだが何か…
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