プロローグ『最後の戦い』

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「まさか我が万象を斬る魔剣を受け止めるとはな!それが聖剣の力か!」 すかさず魔王はもう一方の剣を勇者の腹目がけて突き出す。 しかし次の瞬間、勇者は一瞬にしてその場から移動していた。 「私達も忘れちゃだめだよん!」 勇者を抱えて魔王の攻撃を避けた格闘家が魔王に向けてチッチッチと指を振る。 「小賢しいわ!」 魔王が地面を叩きつけると、地面から大量のモンスターが現れた。 「貴様らはそれの相手でもしているがいい!」 勇者以外の三人がモンスターの群れに取り囲まれる。 斧を持った巨漢がモンスター達を切りながら怒鳴り散らす。 「ちくしょう!こいつら一体一体が強ぇ!」 百戦錬磨の戦士も、賢者と呼ばれた魔法使いも、韋駄天と言われた格闘家もモンスターの相手で手一杯であった。 つまり魔王と戦えるのは一人のみ。 「これで邪魔はなくなったな、勇者」 「さっきも言ったはずだ、仲間の侮辱は許さない」 「くくく……そうだったな」 勇者の聖剣が輝く光の魔力に覆われ、同様に魔王の二本の魔剣もどす黒い闇の魔力に覆われた。 そしてここに、後に伝説となる最後にして最大の戦いの火蓋が切って落とされた。
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