1-4『少女の休日』

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私、マーチ・パイル十二歳が騎士団育年学校に入学し三ヶ月が経った。 そして今日は月に二度ある休日である。育年学校の生徒は基本的に学校の敷地外に出ることは禁じられているが、この休日だけは外に行くことが許されている。 しかし私は別段出かける用事もなければ、お兄ちゃんも仕事で家にいないので帰る意味もない。ので、一日自室で本でも読んで過ごすかと思っていたのだが。 「おい、ちびっ子!手合わせしよーぜ!」 と、ファンブルに半強制的に修練場まで引っぱりだされた。 互いに真剣を使用し、相手に怪我を負わせない程度に剣を打ち合う。ファンブルも剣筋と力は中々なものだがまだまだ私に勝つには程遠い。 ファンブルの攻撃を剣で弾き、喉元に切っ先を向ける。 「ちっ!またあたしの負けかよ!」 ファンブルは大剣を手放しその場であぐらをかいた。これで私の五勝0敗だ。さすがにこれ以上やりあう気はファンブルもないらしい。 「お前は力任せすぎだ。もうすこし技を磨け」 「はいはいわかってるよ。……逆にあんたは力が足りてないよな」 ファンブルから返された言葉に私は息が詰まる。 確かに、情けない話だがこの幼い人間の身体にそこまでの筋力がある訳もなく、剣の重さに身体がよろけることがあるのだ。
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