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もちろん身体強化系の魔法を使えばこの長剣程度軽々と振ることが出来るだろう。しかしなんというか……なぜかそれをするのはズルをしている気分になる。魔王の魔力にかまけて努力をしなくなるなんてことになってはいけない。そんなことをすれば堕落した人生を送ってしまいかねないからだ。
そんなことに逡巡していると、ファンブルがあぐらをかいたまま言った。
「そもそもあんたみたいなちびっ子にその長え剣が合ってないんだよ」
「……どういう意味だ?」
「もっと短えの使えばいいだろ、短剣とか」
ファンブルのその一言に私は衝撃を受ける。
短剣?短剣だと?
重いのなら軽いものに替えればいい?
なんということだ!私としたことがそんな発想すら出来なかったとは。
まさか頭脳まで幼児退行を起こしたのではないかと疑いたくなるほどのショックだった。よりによってこの脳筋女に言われて気づくとは。
「……確かにな、短剣か。検討してみよう」
なるべく動揺を表に出さないよう冷静に努めて返事をすると、ファンブルは朗らかな笑顔で「おう!」と返事をした。
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