出会い

6/6
1311人が本棚に入れています
本棚に追加
/163ページ
「お兄様っ、ご無事で良かった!!」  桜は兄の姿を見るなり、その長身の青年に抱きついた。 「俺が無事じゃないわけないだろう」 「そうね、お兄様は『特別』だもの」 菊は愕然とした。 「菊、この人が私の兄。式場 輝吉」 「……なんで」 「菊、髪を切ったんだ。長い髪も良いけど、短い姿も可愛いね」 「あら、お兄様。菊と面識があったのね」 式場 輝吉は、病の峠の夢の中で菊を漆黒の闇から救ってくれた、赤い月色の瞳のあの美しい青年だった。 「やっと会えたね、菊」
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!