清身体

1/3
1307人が本棚に入れています
本棚に追加
/163ページ

清身体

何故こうなってしまったのか、菊は着物の帯を解いていた。 それを輝吉はじっと見つめている。 「あの……、見られていると恥ずかしくて」 「そう?でも俺の効力は目しかないからね。逃げられたら困るから」 効力とはなんだろうか? とりあえず菊は赤面しながら着物を脱いでいた。 長襦袢姿になったとき、菊の手が止まった。 「どうした、菊」 「私の身体は、男でもないし女でもないから……自分でも見るのが怖い」 「大丈夫。俺の花嫁にするために身体を作り替えたのは俺自身だからね。引くことはない」 すると輝吉はまた妖艶な微笑で立ち膝になると、 「怖いなら私が脱がせてあげようか」 こんなことを軽々と言いのけた。 「乳房はないです。……それはついてますが、穴が二つあります」 「その身体が見たいんだ。菊、俺に見せてくれる」 この妖艶な笑顔で見られると、何故か駄目とは言えないのだ。 それでも躊躇していると、輝吉はハラリと菊の長襦袢を脱がせた。 ___恥ずかしい、消えてしまいたい それとは裏腹に、輝吉が言葉にした 「……予想以上に清い身体だね、菊。まさか体毛も無いなんて」 ッペチリ!! 菊の平手打ちが輝吉の頬に可愛らしい音を立てて入った。 「気にしてるんですかっ」 してからハッとした菊は目を伏せた。 すると輝吉の長い腕が伸びてきた。 打たれる……そう思ったが、予想に反して優しく抱き締められてしまい、菊は面食らってしまった。 「ごめん、菊」 その声があまりにも優しくて、菊は輝吉の大きな背中に腕を回していた。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!