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清身体
何故こうなってしまったのか、菊は着物の帯を解いていた。
それを輝吉はじっと見つめている。
「あの……、見られていると恥ずかしくて」
「そう?でも俺の効力は目しかないからね。逃げられたら困るから」
効力とはなんだろうか?
とりあえず菊は赤面しながら着物を脱いでいた。
長襦袢姿になったとき、菊の手が止まった。
「どうした、菊」
「私の身体は、男でもないし女でもないから……自分でも見るのが怖い」
「大丈夫。俺の花嫁にするために身体を作り替えたのは俺自身だからね。引くことはない」
すると輝吉はまた妖艶な微笑で立ち膝になると、
「怖いなら私が脱がせてあげようか」
こんなことを軽々と言いのけた。
「乳房はないです。……それはついてますが、穴が二つあります」
「その身体が見たいんだ。菊、俺に見せてくれる」
この妖艶な笑顔で見られると、何故か駄目とは言えないのだ。
それでも躊躇していると、輝吉はハラリと菊の長襦袢を脱がせた。
___恥ずかしい、消えてしまいたい
それとは裏腹に、輝吉が言葉にした
「……予想以上に清い身体だね、菊。まさか体毛も無いなんて」
ッペチリ!!
菊の平手打ちが輝吉の頬に可愛らしい音を立てて入った。
「気にしてるんですかっ」
してからハッとした菊は目を伏せた。
すると輝吉の長い腕が伸びてきた。
打たれる……そう思ったが、予想に反して優しく抱き締められてしまい、菊は面食らってしまった。
「ごめん、菊」
その声があまりにも優しくて、菊は輝吉の大きな背中に腕を回していた。
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