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第百二十一回 一周年記念 線香花火の巻
「そろそろ帰ろ愛結ちゃん」
「うん……ちょっと待ってて。もうすぐ終わるからさ」
線香花火の淡い光が夏の終わりを告げていく。
ぽとりと落ちたその火種を染々と見つめる愛結といつかの顔はどこか寂しそうで、それでいてどこか誇らしげだ。
「線香花火……終わっちゃたね。
じゃあ帰ろっか いつかちゃん」
「………うん」
いつかが手を差し出すと、愛結もそれに答えるかのように手を伸ばす。
繋ぎあったいつかの右手、そして愛結の左手は決して解かれることなく、二人は線香花火の放った輝きの余韻に浸りながら暗い夜道を歩いていくのであった。
・・・続く
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