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この世は皆、自分のパズルを持って生まれてくる。
様々な色のピースをはめ、死ぬ直前に自分の完成したパズルボードを眺めるのだ。
もちろん完成させられず終わる人も多い。
そんな人のパズルは、無念の赤いピースが多くなる。
少女Nも、自分のパズルを持って生まれた。
Nは淡々と一人でパズルを進めていったが、人より進みが遅く不出来であった。
ふとNが周りを見渡すと、皆が色鮮やかなピースを使っている中、自分のピースは白一色だと気が付いた。
白いパズルは柄から場所を推測できない分、普通のパズルより難しいのだ。
Nは泣いた。
何故こんな難しいパズルを解かなくてはいけないのだと。
周りが狡いと。
幼稚園の頃は、皆各々のパズルを一人でやっていた。
でも今は友達で集まったり、よく分からない親密な二人がこっそりパズルをやっていたりする。
でもNは自分の真っ白なパズルが恥ずかしくて、誰にも声を掛けられず、また絶対に誰にも見られない様にこっそりと人より遅いペースで惨めに続けていた。
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