第一章 再開

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第一章 再開

「また連絡待ってるよ」。僕がこの言葉を送ったのが最後。君からもう連絡が来る事は二度と無かった。 2016年10月。日本は今、とある事でそこら中に人が溢れかえっていた。誰もが知る大人気のアニメがスマートフォンのゲームになり、しかも体験型で街を歩きながら操作するからである。僕は「流行」というものには少し抵抗があった。もちろん人間の心理で「流行」している物を見ると羨ましいと思う事はある。話題にもなるし、そこに自分が入れなければコミュニケーションが生まれる事もない。分かりやすいのがドラマだろうか。毎週放送されるということは勿論毎週話題が出る。会社勤めしている僕にとって会話に入れないというのは少し切なさがあるのだ。 「今日直輝がこっち帰ってくるから夜飲みに行こう」。 安田優也からLINEが来た。井上直輝とは地元群馬県の小学生からの友人で大学生になって東京に行った友人である。直輝とは小学生時代、よく家に遊びに行ってはゲームをしていた。家の前に坂道があり、スケボーもした。この坂道は急な上、後半がカーブになっていてとても最後まで滑り切るには勇気がいるが、小学生だった僕と直輝はよくそこで滑っていた。今となってはもう無理であろう。 直輝とは中学生まで一緒だったが、高校生からは別々の所へ進学。中学卒業と同時にあまり会わなくなった。久しぶりに会うのは少し照れくささもあり大人になった僕達が会うのは初めてだろう。
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