一話 帝都の敵

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 咆哮。  鬼の形相。  美しいとも可愛いとも形容しがたかったが、それでもどこか愛らしさを残した童顔であった娘の顔が、今や完全に崩壊していた。 「あの男、之宣!  わ、私を、いいように使いやがって!  小汚い浮浪者のアレまで舐めさせやがった!  好き放題しやがって!  私の体を使って大金を稼ぎやがって!  私は、そ、それでも、之宣さんの側にいられるならって、臭いのも痛いのも気持ち悪いのも我慢したのに!  口も胸もアソコもおしりも、すべて、彼のためにささげたのに!  捨てられたくなくて、他の男にもいっぱい、いっぱい、いっ~~~ぱい、ご奉仕したのにいいいいいいいいいいいいいい!  それなのに、あの男、私が妊娠したのを知るや否や、捨てやがった!  まるで、ごみクズくずでも捨てるように!  糞のこびりついた使用済みの便所紙でも捨てるように!  私のことをさげすんだ目で見て、捨てやがったあああああああああああああ!  復讐するしかねえだろうがあああああああああああああああああああああああああああああ!  ああああああああああああああああああああああああああ!」
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