一話 帝都の敵

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「どどどど、どーゆーことだ?  む、娘は、やはり怪人などではなかったのか?」 「怪人、と、いうか」  すでに冷静さをとりもどした毒島が答える。 「コトワリです。正確に言うなら」 「ことわり……?」 「ええ、コトワリ。  理(ことわり)を断つから、断理(コトワリ)。  あそこにいるあなたの娘さんーー彼女には、別の世界から来たもう一人の娘さんが憑依しています」 「あっ……べ、別の世界……?」  男は混乱していた。  諭すように、ゆっくりと、毒島はつづける。 「平行世界ーーという概念があります。  ご存知でしょうか?」 「え、まぁ、は、話だけなら聞いたことは……  だがあれは、単なる夢物語ではないのか?」  ゆっくりと、毒島は首をふる。
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