1人が本棚に入れています
本棚に追加
「あるんですよ、平行世界は。現実に。
概念でも空想でもなく確かに存在していて、そして、やってくるんです。
平行世界から。恨みを晴らすために。この世界に。
別の世界からこの世界に来て、この世界の自分自身に憑依して、そうすることで力を得るのです」
毒島のその説明を。
男は終始驚きを顔に張り付けたまま聞き。
大阪と娘は、ただあるものとして聞いていた。
にわかには納得できなようすの男に対し、毒島は丁寧に、なんどもなんども言葉を代え、たとえを交え、懇切丁寧に説明した。
やがて、男は、完全にではないものの、一応、納得してくれたようだった。
「じゃ、じゃあ、今の話は……この世界であったことではなく、アッチの世界であったということなのか……?
今、娘は、アッチの世界の娘に憑依されている、と……」
「そういうことになります」
毒島はうなずき。
誰もその言葉を否定しなかった。
大阪も。
そして娘も。
最初のコメントを投稿しよう!