一話 帝都の敵

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「アッチの世界で強い恨みやつらみ、不満を抱えた人間が、こっちの世界に意識だけ転移してくる。  もちろん、ふつうなら考えられないことです。  常識では考えられない。  理屈ではありえない。  理を、断つ行為。  ゆえに断理と、そう、呼んでいます。  自分たちの所属する組織では」 「それが……それが怪人の正体なのか……?」  うなずく。 「き、キミはーー」  男は平行世界の娘が乗り移った娘に言う。 「向こうでは死ななかった之宣くんにもてあそばれた。  だから、こっちの世界で、之宣くんの家族を殺したのか?」 「ええ」 「だがこっちの世界の之宣くんはすでに死んでいるんだぞ?」 「それでも」  娘は言う。
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