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「それでも、許せなかった。
復讐したかった。
彼の……之宣の親しいものたちに」
それが、怪人・赤マントの動機だった。
娘はもはや語る言葉をなくし。
男もただ、ぼんやりと、娘を見ていた。
ひょっとしたら存在していたかもしれない、凌辱され、裏切られ、あげく、自分をもてあそんだ男、その家族に復讐を果たした娘の姿を。
やがて。
ふっ、と、娘のまわりの空間がゆがんだ。
すると。
娘の表情が一変する。
憎しみを貼り付けた険しい表情から、悲しみを浮かべた弱々しい表情へと。
「どうやら、コトワリは、元の世界に帰ったようです」
毒島が言う。
「パパ」
立ち上がった娘が、涙を流しながら父親に抱きつく。
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