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「馬鹿な……人間だと……そんな……これじゃあ……まるで……」
カミオロシじゃないか。
その言葉を、すんでのところで毒島は飲み込んだ。
そう、まるで、カミオロシだ。
自らの身に神を降ろし、神の姿になる。
毒島たちカミオロシと、このつい先ほどまでカマキリだった青年は、まったく同じ特徴を持っていた。
「カミオロシ?」
左兎が小首をかしげる。
「そ、そんなはずありません。
だって、今は当主が不在なのに……毒島さんたちだって神を降ろすことは出来ないのに……それなのに、この男がカミオロシであるはずがありません!」
戸惑いながらも、左兎は強く否定する。
彼女の言葉はわかる。
毒島だって同じ気持ちだ。
この男が、カミオロシであるはずがない。
あのカマキリが、神であるはずがない。
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