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その女が、組織のボスだ。
才能はあったが邪悪な心を持ち、破門され、追放された女。
闇子は、一族への復讐をたくらんでいた。
一族が守ろうとしていた帝都をめちゃくちゃにしてやろうと。
そんな彼女が目をつけたのが『見逃された者』だった。
見逃された者……帝都では、すべての市民に対し、幼少のころより、それと気づかれないように、カミオロシの能力が備わっているかどうかを、複数回にわたって調査される。その能力を見逃さないために。
帝都を守る戦力としてとらえられていたが、その一方で、政府は、恐れてもいたのだ。カミオロシの力を持った者が見逃されることを。
自分たちが用意したしかるべき教育プログラムを受けず、帝都に仇なすことを。
政府は、恐れていたのだ。
何事においても、絶対、ということない。
絶対など、絶対ないのだ。
政府がどんなに入念に調査をしても、どんなに繰り返し検査をしても、悲しいかな、その能力を見逃された子供は、それなりに存在していた。
それが、すなわち、見逃された者だ。
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