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毒島たちは糸の先を視線で追う。
そこにーー巨大な、蜘蛛がいた。
巨大な蜘蛛が、空中に、浮いていた。
……いや違う。
蜘蛛の周りには、よく見れば、白い糸が張り巡らされている。
周囲の竹に引っ付けただろう糸の上に、蜘蛛は、立っているのだ。
それを認めた瞬間、毒島は、倒れている男を取り押さえようとした。
が、一瞬遅い。
毒島が男の体に触れるか触れないかのうちに、男は一瞬にして、毒島の視界から消えていた。
「糞っ」
つぶやき、蜘蛛を見る。
するとそこには、先ほどまで地面に横たわっていた男の姿。
きっちりと蜘蛛に回収されていた。
「な、仲間を助けに来たんか!
糞っ、してやれたわ!」
「あの男にはいろいろ聞きたいことがあるのに……」
悔しそうに顔をゆがめる左兎。
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