三話 裏切り者

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 毒島たちは糸の先を視線で追う。  そこにーー巨大な、蜘蛛がいた。  巨大な蜘蛛が、空中に、浮いていた。  ……いや違う。  蜘蛛の周りには、よく見れば、白い糸が張り巡らされている。  周囲の竹に引っ付けただろう糸の上に、蜘蛛は、立っているのだ。  それを認めた瞬間、毒島は、倒れている男を取り押さえようとした。  が、一瞬遅い。  毒島が男の体に触れるか触れないかのうちに、男は一瞬にして、毒島の視界から消えていた。 「糞っ」  つぶやき、蜘蛛を見る。   するとそこには、先ほどまで地面に横たわっていた男の姿。  きっちりと蜘蛛に回収されていた。 「な、仲間を助けに来たんか!  糞っ、してやれたわ!」 「あの男にはいろいろ聞きたいことがあるのに……」  悔しそうに顔をゆがめる左兎。
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