一話 帝都の敵

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 なぜ平行世界からこの世界にやってこれるのかという理屈も、なぜ凄い力を得、変貌するのかという理屈も解明されてはいないが、怪人の存在だけは疑いようのないものだった。  平行世界は存在し、異なる世界の人間が、こちらの世界にやってきて、こちらの自分に憑依し、力を得、変貌し、事件を起こす。  そして毒島や大阪が所属する組織はそんな怪人と化したコトワリを、秘密裏に処理する。  --そういう設定だ。 『帝都神階大戦』というゲームソフトがある。  大ヒットとまではいかないもののそこそこ人気があり、その人物も、好んで繰り返しプレイしていた。  そして。  あるとき気づくと。  自分が、そのゲームの主人公となっていた。  それが、数日前の、怪人赤マントのときだ。  その事件のとき、毒島一琢の中の人は、自分が毒島一琢になっていることに気づいた。  だから中の人は知っていた。  事件に関するあれこれを。  そして、さらに知っている。  これから起こるだろうこと、すべてをーー 「せやな、なんでもかんでも怪人のしわざにしたらアカンな」
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