一話 帝都の敵

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 素直にそう言葉を返してくる大阪を、毒島はほほえましく思う。  大阪太郎。  毒島の訓練校時代からの友人で、気さくないいやつだ。  そしてーー残念ながら、あまり優秀ではない。  あくまで主人公・毒島一琢を立てる存在だ。  号外に載っている怪人による殺人。  これはーー本物だ。  本物の怪人、つまりはコトワリのしわざで、それを、ゲームのプレイヤーである毒島の中の人は知っていた。 「ついたで」  歩き続け、やがてふたりはとあるモダンな建物の前へとやってくる。  夜剣探偵事務所、と看板にはある。  学生兼軍人兼探偵兼秘密組織のメンバー兼女学院の教官。  それが、毒島一琢の属性だ。  年齢は十代後半で、学校に通う年ごろ。  一応学生ではあるが、通学することはほとんどない。  幼いころに陸軍に所属し、訓練を受けたが、これは特別な才能が認められたためだ。  帝都では怪人と戦う秘密組織がある。
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