一話 帝都の敵

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 そしてそのメンバーは、軍人であることがほとんどだ。  帝都では、折に触れ、怪人と戦う才能がある子供をみわける試験が行われる。  それは日常や学校行事の中にまぎれるたわいのない行事であるが、その中で、政府の中でも特に地位と力と資金力を持つ一族によって構成された秘密組織の構成員により、見極めがおこなれる。  晴れて彼らの眼鏡にかなうと、とりあえず何歳だろうが陸軍に所属することになり、その力を磨き上げられることになる。  毒島も大阪も、幼少のころに才能を見抜かれ、陸軍に所属し、秘密組織のメンバーとなっていたーー  そーゆー設定だ。  数日前の怪人・赤マントの事件から毒島一琢となった毒島の中の人に、もちろんそんな記憶はない。  あくまで、ゲームとしての知識や背景として知っているだけだ。  だが、とも思う。  それでもこの世界が、現実として自分の前に存在するのであれば、友人の大阪太郎は、実際に、ゲームで語られたような体験をしたのだろう、と。  それはつらい過去として語られていたが、今の大阪からは、そんな様子は微塵もうかがえない。 「なんや毒島。じっと見てきたりして、気持ち悪いやっちゃなぁ」
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