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設定では四十過ぎ、ということだったが、十歳以上は若く見える。
「本日休業、と札がかかっていたでしょう?
今日は、無理なんですよ」
夜剣のいうとおり、今日……というか、今夜、大事な用事があった。
だから、今日は、探偵業はやらず、一日事務仕事の予定だった。
だが、そんなことはご婦人には関係ないらしい。
「んまぁ!
わたくしのジローちゃんがどうなってもいいっておっしゃるざーあすか!?」
「いやいや、そんなことは言ってないでしょう……」
困り顔でぽりぽり頭をかき、助けを求めるようにこちらを見る。
そんな目で見られても困る。
所長の夜剣に扱えない相手を、毒島の中の人に扱えるわけがなかった。
「ふぅ、やれやれだ。
しつこいババアだぜ。
たく、なんでババアってのはああも自分勝手なのかね?」
椅子にふんぞり返り、机の上に両足を投げ出し、悪態をつく夜剣。
ルックスはすこぶるよかったし、人当たりもまぁ悪くはないが、その本性は、自分勝手で傲岸不遜なおっさんだった。
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