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呆けた表情をしていた毒島は気をとりなおしそう答え、そして自らの任務を思い出したかのように館の主に向けて言う。
「見てのとおり、彼女が、怪人赤マントだったのです」
「ば、馬鹿な……ありえない……そんなことは……」
大きく目を見開き、今でもまだ信じられないという表情で、男は娘を眺める。
それは確かに彼の娘であったが……どこか、違う気がした。
それがどこ、と言われれば困るのだが……
毒島は、そんな男から、少女に目を移す。
桜色の羽織に、紺の袴。
気品のある顔立ち。
どこからどう見ても、良家のお嬢様、といった風。
それが、まさか、怪人赤マントの正体だったなんてーー
いや。
首をふる。
知っていた。
毒島一琢は知っていた。
彼女が、帝都を震わせている怪人・赤マントであることに、なんら間違いはないことを。
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