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すべての真実を知る毒島一琢からすれば、それは単なる役者くずれの仮装だったことがわかるが、一般市民からすればそうではない。
殺害現場付近で目撃された奇妙ないでたちの人物ーー
それは、帝都市民によって、怪人だと噂され、恐れられることになった。
その後、いくつかの事件が怪人・赤マントの仕業だと考えられたが、その実、それらはすべて別個の殺人事件であった。
おわかりだろうか。
そう、怪人赤マントは、他の誰でもなく、帝都の市民、一人一人が生み出し、勝手に恐れていた架空の存在だったのだ。
つい、先日までは。
それがーー実体化した。
実態をともなって、この帝都に現れた。
本物の怪人赤マントは、とある良家の人間を、五人、皆殺しにした。
それこそが、今目の前にいる少女ーー怪人赤マントのした、悪行だった。
赤マントは毒島一琢や大阪太郎、その他多くの秘密組織のメンバーにより綿密に調査され、その正体を突き止められ、そして今宵、戦いにて、打ち負かされた。
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