一話 帝都の敵

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 戦いに敗れた赤マントは、力尽き、その正体をさらしたのだった。 「ふっ、ふざけるなああああ!」  怪人の……娘の父親が叫ぶ。 「わ、私の娘が怪人であるはずがない!  ま、ましてや、ひ、人を殺すわけがないんだあああああああああああ!」  男は、おびえた表情で赤じゅうたんの上に膝をつく娘を見る。  館の、長い廊下。  外では、カッと雷光が空をかけ、轟音が地面を揺らしていた。  娘はしばらく父親を見、どこか複雑な表情で、 「私は……殺してはいないわ……」  それに。  父親の表情が安堵に変わる。 「そ、そうだろう!  こ、これはなにかの間違いなんだ!」 「浅野一家以外はーー」
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