一話 帝都の敵

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 が。  娘の次の一言で。  さらなる絶望にたたき落された。  認めたのだ。  男の娘は。  自分が、少なくとも、浅野家の人間を皆殺しにしたことを。  そして浅野の家は、古くから男と付き合いのある家だった。 「な、なぜだ……なぜお前が、浅野の人間を殺さなきゃあならんのだ!  あ、ありえない、そ、そんなはずはありえなああああああい!」  狂ったように顔面をかきむしる男。  その顔に、赤い線が走る。 「もてあそばれたの」 「も、もてあそばれた……?」  信じられない、という表情を浮かべる男。 「ええ。もてあそばれた」  娘は、腹を、さすった。 「ここに、彼の子供がいるの」
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