雪の朝

2/16
前へ
/16ページ
次へ
 この世界じゃない世界のどこかに、小さな森があった。森にはあらゆる動物が住んでいた。  そして森の一番はずれには、はぐれものの一匹の生き物グリンと人間の子供のニッキ、そして虹色の鳥のレインが住んでいた。  グリンは茶色の丸い大きな毛玉みたいな姿をしていた。手足は木の枝みたいにヒョロヒョロしたこげ茶色。毛玉の下に、ギョロギョロした目があったけれど、いつもにらんでいるみたい。  他の動物たちから「グリン」と呼ばれていたけれど、名前かどうかはわからない。もしかしたら、「犬」とか「クマ」とか「ウサギ」みたいに、動物の種類を表しているのかもしれない。  それとも、ただの「目玉がグリングリンの奴」という意味なのかもしれない。  「痛っ」  ある寒い日のこと、グリンが小さな叫び声をあげた。  「あ、ごめんね、グリン。痛かった?」  ニッキが謝った。手には大きな櫛を持っている。ニッキの顔と同じ位の大きさだ。  「大丈夫だ」  「あとちょっとだからね。レインがいるところはどうする?」  虹色の鳥のレインが、グリンの頭の上に乗って、てっぺんに生えている虹色の葉っぱをつついて食べていたのだ。     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加